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高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

夢だより 風だより【第七十九想】
2008.10.01

 この「夢だより風だより」、町民の皆様にはたいへんご無沙汰を致しました。以前にこのコーナーを連載していたときに、広報紙を使って町長の考え方を町民の方々にお伝えすることに対しご批判をいただきました。つまり「税金を使って選挙活動をするのか」と。そのようなつもりは毛頭ありませんでしたが、ご批判があるのならば真摯に受け止めなければならないと筆を置いたのでした。しかし、やはり町の執行責任者としての考え方をお伝えすることこそが町長の責任ではないのかとの判断に至りました。「当今の毀誉は懼るるに足らず。後世の毀誉は懼るべし。」です。あるがままに考え方をお伝えしたいと思い今月号から再開いたします。

 

 

信頼のない社会は高コスト社会

 日本、フィンランド、韓国の学生を対象に「対人信頼の比較」という調査が平成17年に行われました。その中で「ほとんどの人は他人を信頼していると思うか」という問いに対しフィンランドは7割強、韓国は5割弱、日本は3割弱の学生が”そう思う“と答えています。「この社会では気を付けていないと誰かに利用されてしまうか」との問いにはフィンランド25%強、韓国・日本は共に8割弱の学生が”利用されてしまう“と答えました。さらに「ほとんどの人は基本的に善良で親切であるか」との問いにはフィンランド8割強、韓国8割弱、日本は4割弱の学生が”善良で親切“であると答えています。この調査結果を見る限り、日本社会は信頼感の薄い社会になってきているといえるでしょう。「信頼感などなくても生きていける、信頼など必要ない」と言う方もいるかもしれません。しかし信頼のない社会がたくさんのコストを必要とし、そのコストを負担しなければならないのが自分たちだとしたら、信頼は必要な社会基盤だと言えるのではないでしょうか。

 例えば基準値以上の残留農薬やカビの生えた輸入事故米事件は記憶に新しいことですが、過去を振り返ればこれ以外にも雪印事件、BSE感染牛事件、不二家事件、ミートホープ、白い恋人、赤福、比内地鶏など信頼を裏切った事件は枚挙に暇がありません。そしてこのような事件が起きるたびに「こうした偽装を未然に防ぐための方策が必要だ」「もっと行政による監視の目を厳しくすべきだ」といった意見が大勢を占めるのです。物や人が信用できなければそれをチェックする機関が必要になり、そこには多くの費用を投入しなければならず、その費用を負担するのは結局我々自身なのです。

 信頼感が溢れる国フィンランドは現在、世界の中で経済成長率がトップクラス。さらに児童生徒の学力もトップクラスという事実を目の前にして、それが信頼感溢れる結果だと結論付けるのは早計だとしても、考えさせられることだと思いました。ドロシー・ロー・ノルトの詩の1節”安心を経験した子どもは、信頼を覚える“が思い浮かんできたのでした。

 

 

時代は動いている

 最近興味深い話を聞きました。それは企業進出の条件についての話でした。これまで企業は進出先を決めるときに、高速道路のインターチェンジに近いか、駅や港や空港に近いか、税制上の優遇措置はあるかといった社会的インフラ、さらには行政側の誘致姿勢を判断基準にしてきましたが、今や、それらの条件に加えて「その地域に住む人々が助け合って暮らしているか」という条件も重要視されるようになったというのです。何かあった際に住民の自立度が高いほうが安心であるし、自分たちの問題は自分たちで解決しようという積極的な住民性が企業活動にはプラスに働くということなのでしょう。見方を変えれば、信頼の絆の薄い地域は、結局高コストに繋がるから立地を避けたいということかも知れません。時代は確実に、そして常に動いているということをあらためて感じました。「今」のことをないがしろにしてはいけませんが、それに加えて町長や議会に求められることは、将来に対する洞察力であると再認識をしたのでした。6月の町議会定例会で可決成立した 「高根沢町まちづくり基本条例」やこれから築き上げる「(仮)高根沢町住民協働推進計画」が、次世代の担う高根沢町にとってプラスに働くことを願わずにいられません。

■こちらのコラムに関して

こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
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