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この国を滅ぼしたくない

かつのりコラム

高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

夢だより 風だより【第百五想】
2011.06.01

「今夏の節電対策」

 いよいよ夏を迎えます。今夏の最大の課題は節電対策です。一年の中で最大電力使用が見込まれるのは真夏。仮に電力使用量が供給量を上回った場合には、大規模停電などの混乱が起きます。それを避けるためには、計画停電などの強制措置をとらざるを得ませんが、そのことによって、日本の富を生み出している工業界はもちろん、生命にかかわる医療現場、温度管理が絶対に必要な食品産業などに大きな影響をもたらします。そしてこのことは、雇用の喪失など国民生活への具体的な形として現れることになるでしょう。富や雇用の喪失をもたらしかねない今夏の電力問題は、単に私たちの日常生活が不便になるだけということではなく、これまで営々と築き上げてきた生活の基盤を壊しかねない問題です。ですから私たちは、知恵を出し合って今夏の電力危機を乗り越えなければならないという危機感を持っています。

 節電について考える時の最重要ポイントは、ピーク時の電力需要を抑えることです。ピーク時の電力使用量が供給量を越えなければ計画停電を回避することが出来ます。五月十九日に日本自動車工業会が「夏の電力不足に対応するため、七月、八月、九月の三ヶ月間、加盟各社の工場が木曜と金曜を休業日とし、代わりに土曜と日曜を稼働日とすること」を正式に発表しました。これは、電力消費の少ない土曜、日曜に生産を移すことでピーク時の節電につなげたいという考えからです。取引先の就業時間や子どもの学校・幼稚園・保育園などとの関係など、社会全体の仕組みが整わない中での実行には、今後、整理・解決しなければならない問題があることも事実ですが、何をもっとも優先すべきかということから考えると、日本自動車工業会の決断には敬意を表したいと思います。

 四月二十八日に開催された臨時市町村長会議で私は次のような発言をしました。

「今年の夏の節電対策の最重要ポイントは、ピーク時の電力使用を抑えることです。東京電力の資料によると、電力需要のピークは午後一時から午後三時となっています。節電対策としてサマータイムの考え方もありますが、仮に一時間早く始業したとしても、午後一時から三時の時間帯は業務時間であり、最大ピーク時の電力需要に一切影響がありません。だとすれば、これはあくまでも一つの考え方ですが、サマータイムで一時間早く始業をし、昼休みを午後十二時から午後四時までとり、その間は庁舎の照明やエアコン、エレベーターなどの電源を切り、午後四時から業務を再開する。絶対に電力の必要な産業界や医療界に優先的に電力を使っていただくために、私たちはこれまでの常識や当たり前を一度捨て去る必要があるのではないでしょうか。電力総量からすれば、役所を閉庁したからといって節電できる量は少ないかもしれませんが、われわれの決意を県民皆様に表明することによって、節電に対する意識を向上していただけるかもしれません。そしてこの行動は、一部の自治体が単独で行っても意味がありません。国の出先機関までは難しいでしょうが、警察や消防、教育、福祉、医療などの現場を除くオール栃木で取り組まなければ効果を上げられませんし、デメリットも出てきてしまいます。さらに、これは余談ですが、長い昼休みの間に、食事や買い物、趣味の活動など消費行動にもつながるのではないでしょうか。スペインやアルゼンチンなどの国々はランチの後に昼寝・午睡を取るシエスタという習慣が残っています。今夏の計画停電を回避するためには、われわれにもこのくらいの発想が必要だと思うのです。県のリーダーシップ発揮を期待して提案したいと思います。」

 この提案に対して、原稿締め切りの今日五月二十日現在、何の動きもありません。実現は難しいということだと思います。

 たとえ実現できなくても、目の前に電力危機があることは事実です。電力消費のピークは午後一時から三時。町民の皆様のご協力をお願い申し上げます。

■こちらのコラムに関して

こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
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