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この国を滅ぼしたくない

かつのりコラム

高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

言葉の力
2021.09.09

中学生へのメッセージを依頼されました。この歳になると、若い方々への文章は遺言のような気持ちで書くのだなあと、しみじみ感じました。

「言葉の力」
 今年で64歳になります。振り返って反省多き人生でしたが、唯一胸を張って言えることは、どんな立場や境遇にあっても常に一生懸命だったことでしょうか。重いものと軽いものがあったら率先して重いものを持つ心構え。目線を低くして人のために汗を流す事。そんな日々を支えてくれたのは先輩からの教えや先人の残してくれた数々の言葉でした。

 「花の咲かない冬の日は、下へ下へと根を伸ばす」。この言葉は若き日の福田富一さん(栃木県知事)から教えてもらいました。

 長年購読している月刊「致知」に掲載された心震える言葉にも生き方を正されました。

 

 パナソニックの創業者松下幸之助翁は、
「悪い時が過ぎれば良い時は必ず来る。おしなべて事を成す人は必ず時の来るのを待つ。あせらずあわてず、静かに時の来るのを待つ。」と功を焦る自分を戒めてくれました。

 

 国民的作家の藤沢周平さんは、肺結核で中学教師を2年で辞めざるを得ませんでした。闘病後は業界紙の記者を転々とし、先妻を失い生後8ヶ月の娘さんが残されました。作家として認められたのは志を立ててから20年後。苦節という言葉そのものであったと思います。その藤沢周平さんが色紙に老子の言葉を書いていました。
 「飄風不終朝(ひょうふうはちょうをおえず)
  驟雨不終日(しゅううはひをおえず)」
強い風は一晩中は吹かず、にわか雨は一日中は続かないという意味です。

 20年ほど前、尊敬する鍵山秀三郎さん(イエローハットの創業者)から教えていただいた詩を高根沢町立小中学校の教室に張ってもらったことがありました。(校長先生の許可を得てです)
「あいさつ」
おはようというと目がさめる いただきますというとおなかがすく いってきますというとげんきにいける ありがとうというときもちがいい ごめんなさいというとほっとする おやすみなさいというといいゆめみられる あいさつってうれしいな

「はきものをそろえる」
はきものをそろえると心もそろう 心がそろうとはきものもそろう ぬぐときにそろえておくと はくときに心がみだれない だれかがみだしておいたら だまってそろえておいてあげよう そうすればきっと 世界中の 人も心もそろうでしょう

 自分は言葉の力に支えられて今日まで来ました。心を奮い立たせて来ました。物ではなく心に喜びを感じることの出来た人生は幸せであったと思います。

 結びに、我が愛する坂村真民さんの詩を添えます。
「花には散ったあとの悲しみはない。ただ一途に咲いた喜びだけが残るのだ」

 皆さんの未来が喜び多きものであることを信じ願って。

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