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この国を滅ぼしたくない

かつのりコラム

高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

夢だより 風だより【第百十六想】
2012.07.01

これまでの正しさとこれからの正しさ

 これまで正しいと信じてきたことが果たして本当なのだ ろうか?という思いが最近益々強くなっています。原発の問 題もそうでした。科学技術の進歩は人間の可能性を広げ、一 人でなんでもできる分野を増やしましたが、その半面、助け 合って生きる必要性を減少させ、人と人の繋がりを希薄にし ました。お金は物の動きを便利にする手段としては素晴らし いものですが、いつの間にかお金自体が利益を生む化け物に なってしまいました。「より良いものをより安く」というア メリカから来た呪文は、一見非の打ち所のない言葉ですが、 その結果、商店街はシャッター通りとなり、歳をとって遠 くまで買い物に行けなくなった時に近くで買い物ができな いという状況を作り出しました。そればかりか、「より安く」 の連鎖は回りまわって賃金低下やリストラ、就業機会の減少 という形で、より安いものを追い求めた人々を苦しめていま す。農業も同じです。将来、命をつなぐ食物を生産する農業 が壊滅したら、お金がいくらあっても食べ物が手に入らない 事態もありえるのです。砂漠の真ん中でトランクに一億円を 詰めた紳士が水一リットルを買おうとしても、二億でなけれ ば売らないと言われればそれでおしまいです。

 

 「空腹が人を健康にする」という本が百万部に迫る勢いで 売れているそうです。人類の歴史は空腹を克服し、満腹に なるための歴史でもありましたが、「空腹が人を健康にする」 のだそうです。満腹を追い求めて殺しあったり血を流して きた人類の歴史はなんだったのかと、不意を突かれました。 この本の著者は南雲さんというドクターですが、実はもう 三十年も前から同じことを言い続けてきた方がいます。その 方は、二十八年前に伊豆に断食道場「ヒポクラティックサナ トリウム」を開設し、毎月のエコハウス通信でも食べ物の効 能を解説してくださっている石原結實医学博士。石原医師は 「一日一回から数回の空腹の時間を作ることが健康増進や病 気を治す秘訣と言い続けてきた小生の説がやっと世間に認 められ、嬉しい限りである。」と述べるとともに、「長寿遺伝 子=サーチェイン遺伝子」についても解説してくれました。

 『サーチェイン遺伝子は西暦二000年にマサチューセッ ツ工科大学のレオナルド・ギャランテ教授が発見したもの で、生物が飢餓状態になると活性化し、細胞の老化を防ぎ、 寿命を延ばす働きをする。同教授は飢餓状態に置かれたショ ウジョウバエや線虫の寿命が三割から五割も延びることを 実験で確かめている。サーチェイン遺伝子の研究論文は全世 界で毎年千件以上も発表され、今や西洋医学の華になりつつ ある。「腹六分の食べ物を与えたサル」と「飽食させたサル」 を二十年間追跡調査した研究でも、後者のサルは顔はシワだ らけ頭髪も薄いという老化が進んでいるのに、前者のサルは シワは少なく頭髪も多く脳の萎縮もほとんどみられなかっ た。老化の敵である活性酸素の攻撃から細胞や遺伝子を守 り、老化を防ぐ働きをするのがサーチェイン遺伝子である。 ガンや糖尿病、心臓病などの生活習慣病は、ある面「老化病」 なのだから、こうした病気を防ぐ働きもある。』

 石原氏の断食道場には、石原東京都知事や有名女優が定期 的に来ています。さらには各地で開業している医師の方々が多 いのにも驚きます。なるほどお医者様方は、西洋医学の効能 はもちろんですが、人体の持つ本来の力を知っているのかもし れません。確かに三百万年という人類の歴史は飢餓との戦いの 歴史であり、栄養が満たされるようになったのは僅か数十年程 度。人体は食べていない状況に対しては様々な対処法を持って いますが、食べ過ぎに対してはインスリンの分泌程度しかない、 とういう事実も頷けるのです。

 

 この三十五年間で医師の数は三倍に増え医療技術は格段 に進歩しましたが、それを上回るほど病人は増えてい ます。今、日本の医療費は約三十七兆円。税収のほぼ 九割が医療費で消えている計算になります。この国が 破産すれば医療制度も崩壊します。医療制度を守るた めにも、人間にもともと備わっている力で病気を予防 したいものだと思います。

 誤解のないように付け加えれば、「空腹が人を健康 にする」ことに留意するのは我々大人であり、成長真っ 盛りの子供たちはたくさん食べて、運動勉学に励むこ とは言うまでもありません。

■こちらのコラムに関して

こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
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