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高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

夢だより 風だより【第九十五想】
2010.04.01

地域間交流

 千昌夫のふるさと岩手県陸前高田市。その陸前高田市民との地域間交流が昨年から始まりました。そのきっかけは、町の人材育成塾「たんたん塾」で講師をお願いしている、岩手県花巻市在住の志村尚一さんでした。志村さんは人材育成、地域おこしの指導者としてだけではなく、劇団「ぜんとようようくらぶ」を主宰し、劇作家、演出家、作詞家などの顔も持っています。さらには人気急上昇中の岩手ブランド豚「白金豚」(はっきんとん)の仕掛け人でもあります。栃木県には、以前からJA関係の講師としてたびたび来県されており、そのご縁で十年近いお付き合いになります。

 

 高根沢町はほぼ平らで、豊かな穀倉地帯が広がり、災害が少ない町です。城下町でも門前町でも宿場町でもありません。お天道様と土と水と、そして人々の真面目な汗とで、一心に農作物を作ってきた土地です。このことを私は誇りに思っていますが、あえて「ないものねだり」をするとすれば海と山でしょう。二年前、志村さんにこんな話をしました。「ないものねだりをするつもりはないのですが、わが町にあって先方様にないもの。先方様にあってわが町にないもの。そんな市町村とお付き合いできれば、お互いにプラスになるんじゃないでしょうか。さらに贅沢を言わせてもらえれば、素晴らしい人もいるところがいいです。」そして紹介していただいた方が、陸前高田市で文化四年(一八〇七年)創業の醤油醸造会社、八木澤商店八代目当主の河野和義さんでした。岩手県陸前高田市は三陸のリアス式海岸で有名な市です。世界三大漁場の三陸沖を臨み、リアス式の名の通り平地は少なく海からすぐに山がせりあがっています。人口は市とは言っても二万五千人弱。規模としてもわが町と釣り合いが取れる市です。そして河野和義さん。政府の観光カリスマ認定者。地域の資源や良いところを見直す地元学の先駆者。さらに本物を作る食品の世界でも有名な方でした。昨年、小学館の取材班が元気あっぷむらに泊ったとき、八木澤商店の醤油が置いてあるのを見て「なんで高根沢に河野さんの醤油があるの!この醤油だけでも、またここに来たいと思います」と感激していたのでした。

 

 そんな縁から昨年の秋、たかねピア秋祭りでは「まるごと陸前高田」と題してサンマ六千尾、ホタテ千枚を売り切りました。今年の二月には、JA塩野谷の全面協力を得て、陸前高田市のスーパー「マイヤ・リブル店」にて「まるごと高根沢」を二日間開催しました。にっこり梨は開始早々二十分で完売。イチゴ、春菊は二時間、トマトは三時間、にんじんは四時間で売り切れました。スーパーの社長が、自店の春菊と高根沢の春菊を生で食べ比べ、すぐに店長を呼んで「これからは買い付けるときに、春菊は高根沢産と指定するように」と指示を出していました。さらに嬉しかったことは、「JA塩野谷管内にはこれ以外にも農産物があります」と言ったところ、「高根沢産でなければ駄目です。堆肥たんたんくんを使っているという物語が他の町にはないでしょう。」と言われたことでした。会場の一角には、たんたん堆肥が出来上がるまでのパネルとたんたんくんの実物が展示してあり、社長はそれを見て、消費者と農業者の美しい循環の物語を描いたのでしょう。

 

 住み慣れた自分の町の良さは、残念ながら自分では気付かないようです。こうやって他所に出て行くことで、あらためて気付かされることが自然なのでしょう。今日も(三月二十三日)こんなことがありました。立地企業であるタイガースポリマーの工場長が退任の挨拶に来てくださいました。工場長の言葉です。「町長さん、六年間この町にお世話になりました。本当に住みやすい町です。六年間、良い思い出しかありません。特に米は、家族にも送り続けてきたのですが、ここの米が一番です。」

 

 「動けば変わる!」これからも地道な地域間交流を続けたいと思います。

追記 「マイヤ・リブル店」からはその後も注文が入り、三月にも農産物を送りました。

■こちらのコラムに関して

こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載はご遠慮下さい。
高根沢町 公式ホームページはこちら

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