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高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

夢だより 風だより【第四十三想】
2003.03.01

 合併問題が地方自治体の最大の課題となっている。合併の功罪。功は間違いなく効率化である。二町だけの合併であっても町長以下四役は必要がなくなる。総務企画部門についても、最低でも半分の人数にすることが出来る。両方あわせればその人件費は億を超える。かたや罪。特色や独自性がなくなる。行政の顔が見えなくなり遠くなる。中心部が栄え周辺が廃れる。これらはすべて昭和の大合併の結果現れたことであり、残念ながら事実である。

 

 合併推進派は功を強調し、慎重派は罪を声高に叫んでいる。白か黒かの二分法である。しかし、合併特例法をよく読んでみると、第五条の四に地域審議会という文言が出てくる。その意味は「地域内分権」ということである。合併をして規模が大きくなると、昭和の大合併の結果起きた不都合が確実にあらわれる。それを防ぐ手段として、合併をした自治体が独自に、条例によって地域の特色や独自性を守ることを法律が担保していますよ、ということである。ただし、新しい考え方ゆえに前例がない。国もモデルを明確には示し得ていない。地方が知恵を絞り、その地域にあった地域内分権の形を自分で作りなさいということなのである。国や県にすべてお任せをしてきたこれまでの行政にとっては「考える力を奪い続けてきておいて、いまさら自分で考えろと言われても無理です」ということなのか、合併議論のなかに地域内分権の話はあまり出てこない。しかし私は、「地域内分権」の仕組みをそれぞれの地方が、それぞれの地域の特色を生かしてどのように創りあげることが出来るかという一点こそが、平成の大合併を成功なさしめるか否かの最大のポイントだと思っている。

 

 一対八十一、一対百三十二。この数字は、町職員一人当たりの町民の数をあらわしている。前者は福島県矢祭町、人口約七千人に公務員八十六人。後者は高根沢町、人口約三万三百人に公務員二百二十九人(四月からは四名減の二百二十五人)。私も含めて公務員の給与は納税者の税金で賄われている。つまり矢祭町では町民八十一人で一人の公務員を養い、高根沢町では百三十二人で一人の職員ということになる。

 

 矢祭町は日本で最初に「合併しない宣言」をした町であり、その理念は多くの自治体の注目を集めている。地方交付税の減額が現実となった中で、合併をせずあくまでも自立を目指す矢祭町の努力は私にとって尊敬に値する。町議会議員の定数を十八人から十人に減らし、各種委員会の視察研修はすべて自弁として予算化をしていない。町民に対し行政サービスの低下を強いる以上、自らに耐え得る限りの痛みを課している。しかしその努力をもってしても効率化は限界に来ている。

 

 もとより他町の決断に対して云々するつもりは無いが、独自性や特色を守るためならば税金の多くを公務員の人件費に使ってもいいのか、と自分に問いかけた時、私は安易な「合併しない宣言」を打ち出すことなど出来ない。かといって効率性のためならば、この町の特色や独自の施策が無くなっていいと考えることも出来ない。

 

 合併問題に取り組むに当たっての私の考えは、第一に、数々の指標をもとに合併のメリットを最大限に引き出すことの出来る相手を特定すること。第二に、合併特例法第五条の四にある「地域内分権」の仕組みを、合併の相手方との間で確実に創りあげることである。「地域内分権」はまず相手を特定しないと協議には入れないことから、効率性の指標等で先に相手を特定せざるを得ないが、そのことは決して「まず合併ありき」ではない。「地域内分権」が担保されてはじめて合併という考え方である。したがって「地域内分権」の協議の行方によっては合併しない結論もあり得るのである。

 

 現在、庁内に設置した「合併に関する特別作業班」が第一の作業を行っている。その報告を受けて合併の方向性を判断し、町民の皆様に報告し、最終的には町民皆様の判断をもってこの町の方向を決定したいと考えている。

■こちらのコラムに関して

こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
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