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この国を滅ぼしたくない

かつのりコラム

高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

いよいよ衆議院解散
2014.11.21

安倍政権の経済政策が失敗なのか?途上なのか?これを判断するには順序立てて、さらにデータをもとに客観的に判断したい。
平成24年暮れの野田政権末期と比べて今はどうなのかという事が基準になる。それと同時に、地方を豊かにするためにはまず国が豊かにならなければならないということを確認したい。かつて日本は、焦土の中から立ち上がり、日本人の勤勉性と道徳心の高さを生かして世界の信頼を勝ち取り、加工貿易というビジネスモデルで外国から財貨を稼ぎ国富を蓄えていった。そのことを参考にすれば、まずは国が豊かにならなければその後の富の分配はないということを押さえておきたい。

有効求人倍率は現在一倍を超えた。このことは大卒、高卒の就職内定率にも正直に反映している。円が当時の一ドル79円から円安に振れて製造業の海外移転が止まったことも影響しているのだろう。地方自治を経験すると、なんといっても雇用の確保が一番大切だという実感が自分にはある
株価は当時の8000円台から現在17000円台へ。株のことを言うと、株など持っていない者には関係ないという人がいるが、株を持っていなくても、それぞれの方が年金には何らかの形で入っていると思う。年金はこれまでの掛け金と現在の掛け金から年金受給者に年金を支払っているが、現在126兆円の年金基金を持っている。この基金は国民年金、厚生年金など加入しているすべての国民に関係する。だから年金基金は将来の給付のための大切な原資だ。そしてこの原資はいろいろな方法で運用をされている。株や債券での運用も一部ある。民主党政権の平成24年、この基金運用は一兆五千億円の赤字だった。つまり元本が減ってしまったのだ。当時、日本の年金財政は遠からず破綻すると言われた。しかし、安倍政権となった平成25年、十一兆円の黒字となった。平成26年も同様の黒字だと推計されている。つまり、年金基金の一部を株等で運用してきている部分が、株高で原資を増やしたということになる。しかも株高をもたらしたのは圧倒的に外国資本であることを考えると、外国人の金で日本人の年金原資が増えたことになる。政府が国際的に信頼されるということはこんなところにも影響するということだとあらためて感じる。

しかし、しかしだ。国は(大企業や都市部は)、確かに景気回復の波の中にあるが地方や中小企業・小規模事業者には何の実感もない。それどころか、円安による燃料、原材料、電気代等の値上がりが中小企業の経営を圧迫している。
円安は、海外から国内への投資シフト、物品購入の国内回帰、観光客の増加、輸出企業の利益増加などメリットもあるが、これらのメリットを生かしデメリットを抑えるためには、安倍総理の言う好循環が不可欠。好循環が実現できていないからデメリットが前面に出てくる。賃金上昇が物価上昇に追いつかないから消費が落ち込む。反面、大企業の内部留保は増えている。
では果たして失敗なのか途上なのか?
株は上がり、求人は増え、企業の内部留保は六月の293兆円が十月には313兆円に増えていることから考えても、これからのやり方、制度設計に全てがかかっていると思う。今は富が偏在している(と言っても中国ほどの偏在ではないが)。
つまり、アベノミクスはまだ途上なのだ。

しかし、アベノミクスにも一つ注文がある。グローバル化の掛け声のもとでやってきたことが今の日本の惨状を出現させたのであれば、その流れの一部にノーを突きつけることも、日本の将来にとって正しい選択ではないのか。
ただし、市場原理主義者や新自由主義者には理解いただけないだろうが。

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