• フォントサイズ
  • 中
  • 大

高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

夢だより 風だより【第六十六想】
2005.06.01

『消防団』

 高根沢町住民意識調査というものを行いました。この調査はこれから十年間の町づくりの計画(行政用語では長期振興計画といいます。今年は第四次長期振興計画の最終年にあたります。)を作るに当たって、町民の皆様がどんなことを望んでいるのかを把握して、計画作りの参考にするためのものでした。この結果については今月号の「広報たかねざわ」に掲載されています。私自身も結果を見てやっぱりと感じたのですが、回答者の実に八二、二㌫の方々が「防犯・交通安全対策の充実」を挙げられていました。さらに七三、八㌫の方々が「防災機能の向上」とも答えられました。設問の仕方によって結果の分析が左右されることを差し引いたとしても、これらの回答を総合的に判断するととどのつまりは「安心・安全な町」というものを町民の皆様は最も望んでおられると感じました。

 

 町民の生命・身体及び財産を守ることを第一の任務とする組織に高根沢町消防団があります。町民の皆様は火災発生の時にしかその姿を目にしないかもしれません。しかし、消防団が出動するのは火災現場だけではないのです。むしろ昔に比べて火災発生件数が減っている(これは良いことです)状況の中では、自然災害や行方不明者の捜索などの活動に重点が移ってきています。

 

 昨年は台風がとても多い年でした。暴風雨、大雨、洪水等の警報が幾度となく発令されました。そのたびに消防団は町内各分団ごとに詰め所に集合し、町役場に設けられた災害対策本部に駆けつけた磯消防団長はじめ幹部からの指令に基いて、河川の増水状況や急傾斜地の状態、道路の破損箇所の確認など、暴風雨の中、全身びしょ濡れになりながら本部宛に無線報告を続けていたのです。

 

 昨年秋の中越地震の時にも、高根沢町は震度四を計測しましたので消防団には出動命令が発令され、建物の倒壊、道路・橋脚の損壊について夜中まで調査確認作業に当たりました。台風や地震で、町民の皆様が不安な気持ちを抱かれている時に、皆様の目には付かないところで彼らは活動しているのです。アヒルの水掻きという言葉があります。アヒルは水面を悠々と安定して移動しているようでも、水面下では安定を確保するためにその水掻きが必死で動いているという意味です。高根沢町も消防団のそんな必死の水掻きによって、表面上は平穏に在るということが出来るのかもしれません。しかも、消防団員はほぼボランティアということも知っておいていただきたいと思うのです。

 

 先日こんなことがありました。その日私は、打ち合わせが重なり夜十時頃家に帰りました。とても疲れた感じがして夕食もそこそこに風呂に入ることも面倒くさくなって床に着きました。夜中の午前一時半でした、町役場安全対策推進室の渡辺主幹からの電話で、町内の高齢者が前日の夕方から行方不明になっていること、現在氏家警察署で捜索活動をしているが、磯消防団長より警察の捜索に協力すべく夜が明けるのを待って午前六時に消防団緊急召集をかけ、消防団も捜索活動に入ることなどの報告を受けました。

 

 突然の召集です。しかも団員はそれぞれに職業を持ち、勤め人ともなれば勝手に仕事を休むわけにはいきません。さて何人の団員が来てくれるかと、自分の不安な気持ちに手を合わせました。午前六時、集合場所の高根沢消防署前には磯団長以下四五名の団員が集まってくれました。氏家警察署長の指揮のもと、行方不明者の自宅から東西南北方向に四チームを編成し捜索が始まりました。午前六時五八分、石末宿・向原地内を巡回していた私の携帯電話が鳴りました。安全対策推進室の鈴木係長からでした。力強い弾んだ声で、鬼怒グリーンパーク県民ゴルフ場付近で無事保護、しかもご本人は元気との連絡でした。

 

 安全・安心を成し遂げるためには、施設・設備・機械などいろいろな要素があるのかもしれません。しかしその前に、自分の時間を投げ打ってまでも汗を流してくれる人間の大切さを、私はいつも消防団員に教えられているのです。

 

 地域自治などとたいそう厳めしい言葉など使わなくても、その本当の中味は消防団が示してくれているのです。

■こちらのコラムに関して

こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載はご遠慮下さい。
高根沢町 公式ホームページはこちら

インデックスに戻る
ページの一番上へ