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高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

夢だより 風だより【第五十想】
2003.10.01

 前例主義は楽チンである。安心であり逃げ道もある。説明にならない「説明責任」も形だけは作ることができる。組織というものがその宿命として前例主義に陥らざるをえない理由ももっともなるかな、と納得してしまう。だからこそ逆に、前例主義を見事に打破し独創を確立した、例えばノーベル賞受賞者に脚光が浴びせられるのであり、北川前三重県知事が時代の寵児として注目されるのである。

 

 前例主義は官僚機構の専売特許ではないらしい。先日、友人の喜連川町議と話をしていたところ、彼はこんな事を言った。

 

 「宇都宮との合併は出来る訳がないよな」

 「どうして?」と私。

 「だって地域内分権・地域内自治なんて作れるわけがないじゃないか」

 

 確かに地域内分権・地域内自治・分権型合併という言葉は初めて聞く言葉であり、そのイメージは容易に湧いてこない。しかも、このような合併に対する考え方は栃木県内では宇都宮地域だけである。だから「熱い氷・冷たい情熱」といった矛盾する日本語の類と捉えてしまうことも無理はないかもしれない。しかし、宇都宮地域合併協議会「地域自治制度小委員会」における作業は着実に進みつつあり、その基本的な仕組みが少しづつ見えてきている。

 

 

大きくしながら小さくする

 自治とは何なのか、本来のあるべき自治の姿とはどういうものなのか。国による画一的な国民の最低限度の生活保障や社会基盤整備がある程度達成された今、私たちには自治の再構築という宿題が課せられている。だから私は、「合併は、それ自体が目的ではなく、自治本来の姿を考え、築いていくための手段」との考えを合併方針の最初の大原則に位置付けた。そして二番目の大原則として「新たな地域自治制度(地域内分権・地域内自治・分権型合併)」を掲げたのである。

 

 「より高い住民自治」、「より安定した財政基盤」、「より高い政策立案」。これらは私が思い描く新しい自治体の姿である。新市全体で統一して進める分野は、スケールメリットを生かしてよりダイナミックに、また、旧市町村で進める分野は、「自助・互助・共助」に基く住民活動を基本によりきめ細かく。全体としてやったほうが効率的なこと(集権集中)と、旧町単位で今までどおりやったほうがよいこと(分権分散)の棲み分けを行い、それを制度として確立すると同時に条例化によって恒久性を担保する。合併による規模拡大と地域内分権とは、またまた矛盾した日本語だが「大きくしながら小さくする」ということなのである。

 

 宇都宮地域合併協議会「地域自治制度小委員会」で検討した地域自治制度の基本的な仕組みの中には、分権分散の受け皿となる「地域行政機関」と「住民代表組織」や、集権集中の実行機関である「全市統轄機関」について言及されている。これらは「宇都宮地域合併協議会だより」等でいずれ詳しくお知らせすることになるが、今後さらに、「地域行政機関」の長の法的位置付け、「住民代表組織」の具体像、事務事業の「全市統括機関(集権集中)」と「地域行政機関(分権分散)」への具体的な仕分け、財源配分ルールの確立など詰めの作業を行っていくことになる。

 

 私たち大人は、子ども達が困難に直面したときに、「安易なほうに逃げろ」とは言わない。「困難でも自分の能力の限りを尽くして努力してみろ」と諭すはずである。ありがたいことに人間には「知」が与えられている。能力の限りを尽くすだけである。そして間違っても「財政上の特例目当て」だけの合併をしてはいけないと考えている。

■こちらのコラムに関して

こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
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