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この国を滅ぼしたくない

かつのりコラム

高橋かつのりが自身の考えや想いを綴るコラム『夢だより 風だより』

夢だより 風だより【第四十七想】
2003.07.01

 平成十三年十一月、合併についてのアンケートをとりました。一切の資料・データが揃っていない中で行ったこの時のアンケートの目的は、「合併」に対する町民皆さんのイメージがどんなものであるのかを知りたいということでした。もちろん漠然としたものになることは想定しましたが、まずは漠たるものでも、それを知った上で作業を進めたいと考えたのです。結果は、回収率が約九%と低いものでしたが、合併に賛成が約六十三%、反対が約十七%でした。合併の相手先は、十%を越えたもので多かった順に、宇都宮市、氏家町、芳賀町、河内町となりました。そしてこのときに町民の皆さんから寄せられた多くの声は、参考となる資料・データがない中では判断しろといわれても不可能である、との事でした。このご批判は当然の声だと思いました。

 

 平成十四年五月、塩谷郡一市四町での資料作成に入りました。続く平成十四年七月、宇都宮を中心とする一市七町(宇都宮市、河内町、上河内町、壬生町、石橋町、上三川町、芳賀町)での資料作成に入りました。芳賀町と高根沢町の二町のケースについてはこの作業の中で同時進行で資料を作成しました。

 

 資料の完成をうけて、平成十四年十一月、課長補佐クラス二十七名による市町村合併研究・検討特別作業班(タスクフォース)を組織し、詳細な研究・検討に入りました。方法としては、事務事業の中で代表的な四十二の項目を選び、その項目の一つひとつに四つのパターン、つまり塩谷広域一市四町、宇都宮地区一市七町、芳賀町との二町、合併せずに単独、のそれぞれの場合をあてはめ、「現状の分析」「期待される効果」「懸念される課題」等を整理しました。この研究・検討報告書は平成十五年三月六日、町長である私に提出されました。百四十ページに及ぶその報告書には、スケールメリットを追求する合併の弱点を克服するための地域内分権の必要性が強調され、その上で客観的に判断するならば順位としては、宇都宮地区、芳賀高根沢二町、塩谷一市四町、高根沢町単独と結論づけられていました。

 

 この研究・検討報告書を基礎に、執行部による更なる検討を加えた結果、「合併を目的とするのではなく、自治本来の姿を考え築いていくための手段と位置付け、新たな地域自治制度(地域内分権)の制度化を前提として、宇都宮地域との合併協議を進めることが最良の結果を導く」との結論に至りました。

 

 現在、六小学校区での合併懇談会を終了し、さらに懇談会開催要請のあった地域・団体との合併懇談会を鋭意進めています。

 

 百四十ページに及ぶ研究・検討報告書については町のホームページで公開するとともに、懇談会出席者や希望者の方に配布をし、またこの報告書を読みやすくまとめた合併特集号についても、四月に広報と一緒に配布いたしました。私自身の合併に対する基本的考え方についても、広報三月号のこの欄で申し上げました。

 

 しかしまだまだ情報の開示は十分ではありません。地域内分権・自治の具体的な形や合併した後の税金や公共料金、さらには行政サービスの質と量はどうなるのかという疑問に応えるためには、高根沢町単独で答えが出せるものではなく、どうしても任意の合併協議会を作って作業する以外に方法がないのです。現在、宇都宮地域(宇都宮市、河内町、上河内町、上三川町、高根沢町)で任意の協議会を立ち上げ作業を始めました。今後、具体的な情報を、広報・ホームページ・新聞折込等で出来る限り開示していきます。どうか意識的にご覧いただきたいと思います。

 

 町としては、今後合併の判断材料となる情報を開示していくと同時に、その情報を受けて町民の皆さんがどのように判断なされているかを把握する方法を、町議会と協議しながら模索していきたいと考えています。

 

 もちろん町議会でも特別委員会を組織し、独自に検討作業を進められています。ですから、議会の議決が必要ない任意の協議会を立ち上げたからといって合併が決まったわけではありません。今後の法定協議会参加と正式な合併決定には、いずれも町議会の議決が必要なのです。

 

 合併の功罪はすぐには結果として表われません。本当の結果が表われるのは次の世代になるでしょう。だからこそ、一面的な判断や好き嫌いといった恣意的な判断を極力排除し、多面的に、さらには将来の少子高齢化や経済動向をも視野に入れて客観的に判断する手法をとってきたのです。

 

 私が出した方向は、可能な限りの作業を経て、現時点における最良のものとして判断いたしましたが、最後の決定は町民皆さんの判断です。合併の前提となる、最も重要な地域内分権の仕組みもこれからどのような形になるか、です。

 

 私は合併を考えるとき、小学生の顔を思い浮かべます。「今」ではなく、「明日」に思いをめぐらして、共に考えていただければとお願い申し上げます。

■こちらのコラムに関して

こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
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